薬剤誘発性認知症…抗コリン剤…^^;

前回…アリセプト(アセチルコリン賦活剤)での徐脈のケースをアップしましたが…今回はその真逆…抗コリン剤で認知機能が低下することは十分可能性としては考えられますよね ^^;
外来で...物忘れが激しくなって来たって言われ…過活動性膀胱(OAB :overactive bladder)に対しウリトスを処方してた方がいらしたわけ…最初は…年齢かアルツハイマーっぽくなって来られたかと思うも...前回のアリセプトの学習で...このアセチルコリン阻害剤によるものじゃないかという思いが巡ったわけ…で...とりあえずそいつを休薬して経観しましょってことに ^^
(*どうしても使いづらいときにゃ...わたしゃ使ったことないですが

アセチルコリンの働きを阻害することによって副交感神経興奮時の逆の作用を得ることができるが、同じように副交感神経興奮の逆の作用を得るには「交感神経を刺激する」という方法でも問題ないことが分かる。交感神経興奮に関わる受容体としてα受容体やβ受容体が存在する。この中でも、膀胱にはβ3受容体が存在している。そのため、このβ3受容体を刺激することによっても過活動膀胱を治療することができる。このように、β3受容体刺激作用によって過活動膀胱を治療する薬としてミラベグロン(商品名:ベタニス)がある。」) 

...ってのがありますからそいつになるかもね…^^
その後の経過はまだこれからなのですけどね…^^
で…調べてみた ^^v

イメージ 2

認知症は数種の分類方法がある:アルツハイマー型または非アルツハイマー型,皮質性または皮質下性,非可逆性または潜在的可逆性,一般的またはまれか,である。認知症は原発性神経変性疾患であるか,あるいはその他の病態が原因となる。

主なタイプは,アルツハイマー病,脳血管性認知症,レーヴィ体認知症,前頭側頭型認知症,HIV関連認知症である。その他の認知症関連疾患には,パーキンソン病,ハンチントン病,進行性核上性麻痺,クロイツフェルト-ヤコブ病,ゲルストマン-シュトロイスラー-シャインカー症候群,その他のプリオン病,神経梅毒がある。認知症のタイプや原因の鑑別は困難であり,確定診断にはしばしば剖検で脳組織の病理学的検査が必要となる。患者は2タイプ以上を有することもある(混合型認知症)。

脳の構造的な障害の一部(例,正常圧水頭症,硬膜下血腫)や,代謝障害(例,甲状腺機能低下症,ビタミンB12欠乏症),毒素(例,鉛)は,認知を緩徐に悪化させるが,これは治療によって解消しうる。このような障害は可逆的認知症と呼ばれるが,認知症という用語を非可逆的な認知力の低下に限定する専門家もいる。うつは認知症に類似することがある(かつては仮性認知症と称された);この2疾患はしばしば併存する。加齢により認知力に変化が生じるが,これは認知症ではない。

認知症の患者では,あらゆる疾患によって認知障害が増悪しうる。認知症の患者では,しばしばせん妄が起こる。薬物,特にベンゾジアゼピンおよび抗コリン薬(例,三環系抗うつ薬,抗ヒスタミン薬,抗精神病薬,ベンズトロピン)は,たとえ適量であっても一時的に認知症の症状を引き起こしたり,悪化させたりするが,アルコールもまた同様である。新たな,あるいは進行性の腎不全または肝不全は,薬物クリアランスを低下させるため,何年も安定した用量が投薬された後に薬物毒性を引き起こすことがある(例,プロプラノロール)。」

「薬剤で誘発される認知症(その1) その他の認知症

イメージ 1

薬剤誘発性認知症という用語を聞いて、驚かれるかも知れませんね。実は、投薬された薬によって、認知障害が引き起こされることは結構多くあります。ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬、パーキンソン病の治療に用いられる抗コリン薬、抗ヒスタミン薬(=かぜ薬など)、抗潰瘍薬の一部(シメチジンなど)、ステロイド、抗うつ薬などは、薬剤誘発性の認知障害(薬剤性せん妄)の原因となり得ますので、これらの薬剤の投薬後には注意して経過を観察する必要があります。薬剤誘発性認知症の有病率に関して、金沢大学大学院医学系研究科脳老化・神経病態学(神経内科)の山田正仁教授らは次のように報告しております。
 「薬剤性の認知症の有病率はあまり報告がない。Larsonら(Larson EB et al:Adverse drug reactions associated with global cognitive impairment in elderly persons. Ann Intern Med Vol.107 169-173 1987)は、60歳以上の認知症と診断された外来患者308名のうち35名で薬剤性の認知症を認め、薬剤の中止で全員の認知機能の改善を確認したと報告した。しかし、薬剤が認知機能低下の単一の原因であったのはそのうちの29%で、それ以外はアルツハイマー病など他の原因の合併がみられた。」(篠原もえ子、山田正仁:薬剤による認知機能障害. BRAIN and NERVE Vol.64 1405-1410 2012)
 ベンゾジアゼピン系薬剤の服用が認知機能障害を引き起こす原因は以下のように説明されております。             「ベンゾジアゼピン系薬剤は、辺縁系および大脳皮質のベンゾジアゼピン受容体と関連し、GABA受容体機能(メモ2参照)を亢進させて、これらの部位の神経過剰活動を抑制し、抗不安作用、催眠作用を発揮する。このGABA-ベンゾジアゼピン受容体は海馬を中心に分布しているが、ベンゾジアゼピン系薬により海馬の記憶機能が抑制されるために記憶障害が生じると考えられている。また、ベンゾジアゼピン系薬は抗コリン作用を有すると同時に、脂溶性薬剤であるため、高齢者では蓄積されやすく、作用が延長しやすい。ベンゾジアゼピン系薬の長期服用による認知機能障害として、空間視力障害、IQの低下、協同運動障害、言語性記憶および注意力の障害が報告されている。」(篠原もえ子、山田正仁:薬剤による認知機能障害. BRAIN and NERVE Vol.64 1405-1410 2012)                                                               メモ2:GABA γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)を略して、GABA(ギャバ)と呼んでいます。GABAは主に脳や脊髄で「抑制性の神経伝達物質」として働いており、興奮を鎮めたり、リラックスをもたらしたりする役割を果たしています。

 『認知症疾患治療ガイドライン2010』という書籍には、「Anticholinergic Risk Scale」という表があり、抗コリン作用の有害事象のリスクが3点・2点・1点の3段階で一覧表示されています(認知症疾患治療ガイドライン2010 医学書院発行, 日本神経学会監修, 東京, 2010, pp38-43)。」

 国立病院機構菊池病院の木村武実臨床研究部長は、アパシーを「うつ状態」と判断してしまい治療すると悪化する危険性もあるとして、事例を提示し警鐘を鳴らしています(木村武実:BPSD─症例から学ぶ治療戦略 フジメディカル出版, 大阪, 2012, pp44-45)。以下にその事例と木村武実先生の解説を一部改変してご紹介致します。
事例:75歳男性、アルツハイマー型認知症
 1年前からアリセプトを処方され、2カ月前から、散歩せず、新聞・テレビにも関心を示さなくなりました。そこで、かかりつけ医が『うつ状態』と考え、トリプタノール20mg/日を投与し、かえって悪化したようにみえたため、さらに60mg/日まで増量しました。すると、1日中ボーっとしていて食事も介助が必要になりました。身体的にも、便秘の悪化、尿閉、□渇などが出現しました。そこで、当院を受診されました。諸検査では、特に異常は認められませんでした。
 トリプタノールを漸減・中止したところ、身体症状は改善し、ボーっとすることはなくなり、身の回りのことはできるようになりました。次に、アリセプトを注意深く漸増して8mg/日にしたところ、新聞・テレビも観て、散歩に行くようになりました。 
【解説】
トリプタノールは昔ながらの三環系の抗うつ薬で、脳の神経伝達物質であるアセチルコリンを減らす抗コリン作用が強いことで精神科領域では有名です。アセチルコリンは認知機能や意識レベルの維持に重要な役割を果たしているので、トリプタノールが脳内のアセチルコリンを減らすことにより、認知機能障害やせん妄を引き起こします。
この患者さんは、意欲低下が認められたため『うつ状態』とみなされ、抗うつ薬であるトリプタノールが投与されました。しかし、この状態は『うつ』ではなく『アパシー』だったのです。うつとアパシーの違いは、うつ状態の患者さんは症状が自己違和的なために苦悩されますが、アパシーがある患者さんは症状に苦しむというよりも無関心です。認知症高齢者のアパシーに対する抗うつ薬の効果は限定的です。三環系抗うつ薬のトリプタノールはアパシーに無効であるばかりでなく、その抗コリン作用のために、かえって患者さんを苦しめることになります。
ですから、「アパシー」と「うつ」をきちんと区別することが重要となってきます。しかしながら実際には紛らわしいケースも多く、認知症診療に携わる専門医ですら、きちんと区別することは必ずしも容易なことではないと感じている状況もあります。」

2006.02.06

“ありふれた薬”に意外なリスク 抗コリン剤を継続使用の高齢者、8割に軽度認知障害


抗ヒスタミン剤や鎮痛剤など、ごくありふれた薬の長期使用が、反応が遅くなる、物の名前を思い出せないなどといった高齢者の軽度認知障害を引き起こしている可能性があることが分かった。高齢者に軽度認知障害が認められる場合、抗コリン剤の使用の有無を確認し、可能な場合には使用を中止すれば、認知障害が消失する可能性がある。

軽度認知障害を引き起こすリスクがあることが指摘されたのは「抗コリン作用薬」。制吐剤、鎮痙薬、気管支拡張薬、抗不整脈薬、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、降圧薬、パーキンソン病治療薬、コルチコステロイド、骨格筋弛緩剤、潰瘍治療薬、向精神薬など、一般に処方されている多くの薬剤が抗コリン作用を持つ。

・・・

早期認知症患者にはしばしば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤が投与される。もし、抗コリン剤による軽度認知障害の患者にこれが投与されたなら、アセチルコリンの作用を抑制する薬剤と促進する薬剤が同時に用いられるという事態が起きることになる。

本論文の原題は「Non-degenerative mild cognitive impairment in elderly people and use of anticholinergic drugs: longitudinal cohort study」。アブストラクトはこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)」


*いくらでも勉強することがありますわ ^^;v

To be continued...
関連記事
スポンサーサイト



コメント

No title

スモークマン
>詠子さんへ ^^
薬品集のそれぞれの副作用の欄をご覧になってみてくださいな…^^
そりゃもうわたしにはいい加減な羅列…Orz
胃薬の欄に「胃腸障害、便秘,下痢、…etc」…^^;
それを薬の説明書きってのに記載するときだって…
胃薬の副作用に『胃腸障害に注意』なんて印字されてることあるから...患者さんは心配して飲んでなかったりなんて...笑い話じゃすまないようないい加減さというか...恣意的な書き方が横行してますやん !!…
わたしゃ...主治医の腹までもふくるる事態なのよね…!!…Orz~

No title

-
私の場合だと、まず薬の副作用は予防接種の副反応みたいに100%無い…と思って飲んでます。それくらい病気知らずで薬の副作用でなやむことなくやってきてるのでありがたいのですが、今から歳をとってたくさん薬を飲むようになった時に、薬のために、胃痛に悩まされたりするのかなぁと。胃薬が原因で胃痛が起きたと話されてたおばあちゃんがいましたが、実際こういうことって有り得るんでしょうか?

No title

スモークマン
>詠子さんへ ^^
その主治医も次々と現れてくる薬剤に関して、その素機序が理解できていても(それが怪しかったり…^^;)...気付けないことなんていくらでもありそうで…しかも…薬剤官相互作用のこともあり、他所で飲まれてる服薬歴もお尋ねしながらの外来は時間かかるんですよぉ...^^;…
薬を変えたり/替えたり/増やしたり減したり…の後に患者さんの不調が出た場合は、まず薬剤性ではないかと考えるようにしてるしされてるはずですが…それでもなおってことかなぁ...薬剤師さんでも薬渡しのときすべての副作用はお話できませんでしょうから…?…Orz~

No title

-
確かに…専門的なことを全て理解することは無理ですが、自分の飲んでる薬に関しては、周りの意見や自己判断でコントロールせず、主治医の先生と相談しながら服用するべきだなと思います。。。
非公開コメント

トラックバック